消費者はパーソナルケア製品に高い品質を期待しています。この種の製品を製造するメーカーは、過剰充填、充填不足、ラベル表示の不備など、製品に欠陥がないことを確認するために多大な労力を費やしています。ブランドの評判はそれらにかかっているからです。多くの大手パーソナルケア製品メーカーは、製造と包装をサードパーティのパッケージングパートナーに委託しています。これらの受託製造業者は、顧客が設定した厳しい品質基準を遵守する必要があります。米国ミネソタ州チャンハッセンに本社を置くFederal Packageは、多くの有名ブランドの推奨受託製造業者となっています。同社は、消臭剤、日焼け止め、リップクリーム、美容液、各種ローションやクリームなど、幅広い健康、美容、パーソナルケア製品の開発とパッケージングを専門としています。Federal Packageは、顧客のブランドイメージを高める高品質の製品を提供することに誇りを持っています。
労働力不足により、卓越した品質の製品を提供するためのリスクが増大
Federal Packageでは、最近、消臭剤の製造を含むパーソナルケア会社向けのプロジェクトが発生し、これが同社による自動検査への投資に拍車をかけました。この製造工程には、自動化に適していると思われる検査ポイントが2つありました。1つ目は、消臭剤を入れるプラスチック容器に液だれがないかチェックするポイントで、これは過剰充填を示すだけでなく、製品の体裁を悪くしていました。2つ目の品質チェックポイントはラベル検査でした。これには、正しいラベルが使用され、パッケージの正しい位置と向きに貼られていることを確認する作業が含まれます。このプロジェクトで使用する予定だった生産ラインでは、充填後の製品をオペレータが手作業で検査する必要がありました。生産性を向上させ、品質を高めるには、各パッケージの自動検査が理想的なソリューションでした。
使いやすさと優れたカスタマサービスを マシンビジョンパートナーの選定で考慮
Federal Packageは、事業のさまざまな分野でマシンビジョンに投資しており、コグネックスや他の大手マシンビジョンテクノロジサプライヤとの取引実績があります。コグネックスとの関係強化は、旧製品を新しいプロジェクトに再導入する際に、My Cognexサポートサイトで製品を登録し、ソフトウェアアップデートをダウンロードして、強化された機能を利用したことがきっかけでした。Federal Packageは、このソフトウェアが他のマシンビジョンテクノロジサプライヤのソフトウェアよりも使いやすいと感じました。センサをサポートサイトに登録するときに、コグネックスのアカウントエンジニアであるニック・ラダッツは同社に、さらにサポートが必要かどうかを尋ねました。ラダッツが提供したカスタマサービスとソフトウェアの優秀さを体験したことで、Federal Packageは、次にビジョンシステムが必要になったときにコグネックスを選択し、コグネックスはこの新しい消臭剤検査アプリケーションを提案しました。
エッジ学習ベースシステムが99%を超える精度で100%の製品を検査
ラダッツはFederal Packageとの会話の中で、デバイスにエッジ学習テクノロジを組み込んでいるコグネックスの最新2Dビジョンシステムを紹介しました。エッジラーニングは人工知能(AI)の一部であり、事前登録済みのアルゴリズムを使用してデバイス上、つまりデータの発生源となるデバイスの“エッジで”処理が行われるものです。このテクノロジは、ディープラーニングなどの他のAIベースのソリューションと比較して、設定が簡単で、時間を短縮でき、少ない画像枚数での登録が可能です。Federal Packageの製造エンジニア、ノア・ルーアー氏は、この新しいビジョンシステムがその役割を果たすことができ、自動化テクノロジへの投資として価格的にも納得できると感じました。ルーアー氏は、“選択したエッジ学習ベースのビジョンシステムには、この価格帯で最も多くのオプションがありました”と語りました。
Federal Packageはカラーとモノクロの両方のシステムを購入しました。ラベルの境界と消臭剤容器本体をよりよく区別できるように、液漏れ検査にはモノクロバージョンを、ラベル検査にはカラーバージョンを使用しています。ルーアー氏は、ビジョンシステムに組み込まれたAIベースのテクノロジの適応力に満足していました。
液漏れ検査システムは、各消臭剤パッケージの正面と背面の両方で、過剰充填による消臭剤の液だれの有無を評価しました。パッケージ外部に消臭剤の痕跡があると、その製品は拒否されます。片面ごとに2つの分類がありました。OK(クリーンなパッケージ)とNG(液だれのあるパッケージ)です。
ルーアー氏はこう言います。“当社には、さまざまな香り、色、名前を含む30~40種類の消臭剤のデザインがあります。カメラに映る容器はさまざまな色や名前で関連付けられています。システムを試用した結果、システムのエッジ学習機能は、色や名前をフィルタリングし、製品の実際の欠陥を集中的に見つけるのに十分なインテリジェンスを備えていることが分かりました”。
液漏れ検査ラインは毎分およそ80個で稼働し、ラベル検査ラインは毎分60個前後で稼働します。どちらの場合も、自動化によってスループットが向上し、手作業では達成できなかった全数検査が保証されています。欠陥品の検出精度は99%を超え、検査をすり抜ける数個の欠陥品を改善するための人的介入は最小限に抑えられています。
Federal Packageは、コグネックスの新エッジ学習ベースビジョンシステムの魅力的な価格に加えて、システムのセットアップとトレーニングが容易なことに驚きました。ビジョンシステムは初めて生産ラインに設置されてから1時間以内に導入が完了しました。取り扱いが容易だったため、ルーアー氏は保守部門にビジョンシステムの設定を任せることで時間の余裕が生まれ、他の自動化プロジェクトに取り組めるようになりました。新しいビジョンシステムのもう1つのメリットは、製品切り換えの時間が短縮されることです。ルーアー氏は“エッジ学習の分類ツール機能により、良い例と悪い例の両方の画像についてシステムを迅速にトレーニングできるため、さまざまなタイプの消臭剤製品に容易に切り替えられるようになりました”と言います。
色やラベルの異なる多様な容器があるため、頻繁に切り替える必要がありました。しかし、自動検査システムによって、切り替えが非常に簡単に処理されるようになりました。新製品を製造するためのシステムのトレーニングは5分~10分で済み、オペレーション効率を最大限に高めることができました。さらに、Federal Packageでは、予想したほど頻繁にシステムを再トレーニングする必要がないことが分かり、時間が節約され、生産ライン効率が向上しました。
エッジ学習がブランドプロミスの実現に貢献
品質はFederal Packageの最優先事項です。同社は顧客が自社のブランドイメージを信頼していることを知っており、その責任を重く受け止めています。顧客に優れたサービスと製品を確実に提供するために、あらゆる手段を講じています。ルーアー氏は“パーソナルケアメーカーのパッケージングに携わる企業は、顧客に喜ばれ、ブランド価値を維持して高品質の製品を消費者に提供することが、パートナーシップの要件となります”と言います。
導入した新しいエッジ学習ベースの自動検査システムにより、品質保証工程が向上しました。Federal Packageのオペレーション担当上級副社長、ジェリー・ビルゼ氏は“コグネックスのエッジ学習ベースビジョンシステムは、私たちのベストをさらに高めます”と述べています。
今後の計画
Federal Packageは、コグネックスのAIベース画像処理システムにも投資しています。このシステムは、顧客やFDAが要求する在庫管理やロット管理に対応して、サプライチェーン全体にわたる追跡を可能にするため、同社では製品に印刷しなければならない日付とロットコードの確認にこれを使用する予定です。Federal Packageは、事業の成長に伴い、さまざまな生産ラインにコグネックスのビジョンシステムを追加し、最終製品の品質を向上させることを計画しています。